樹上完熟を基本としたりんごの栽培 角田暢一さん(孝道りんご園)

フルーツ

土作りにこだわり、
年間38品種前後のりんごを
栽培しています。

角田暢一さんが代表をつとめる孝道りんご園は沼田玉原山麓りんご郷にある。

店内に入ると、壁にずらりと掲示された表彰状の多さに驚く。沼田市、群馬県などのりんご品評会でさまざまな賞を受けてきた。群馬県知事賞を受賞したのも複数回。

「たくさんの賞の中でも知事賞が一番嬉しい」

知事賞も含めたすべての評価は長年にわたって、高い品質のりんごを作ってきた証だ。

「2021年は特殊な年でした。味は変わらなかったけれど、サイズが小さかった。蜜入りはいい年だった」

 孝道りんご園では年間で38種類の品種を育てている。観光りんご園としてはすでに30年以上のキャリアを持つ。

毎年9月上旬から12月上旬まで、時期が空かないように群馬県や近県以外にも岩手や福島の品種も加えて品種を増やしてきた。

10月末から11月にかけて、ちょうど陽光の収穫の時期には孝道りんご園のりんごとその背景にある山の紅葉のバランスが美しいと聞いた。いろいろな見どころのあるりんご園だが、他園同様に昼夜の寒暖差のある気候を生かし、樹上完熟を基本とした生産を行なっている。

「親の代から来ているお客さんが子どもや孫を連れてくることも多い」

 子供でも手が届くわい化栽培も導入した。お客様の年齢を考え、お客様がりんごを収穫しやすいようにとの配慮なのだろう。

店頭に置かれているパンフレットの裏面にはりんごの健康への効果が記されている。

豊富に含まれているりんごポリフェノールについて、カリウムやペクチンなどの成分について、そしてダイエット効果についてなど、りんごについての一般の人が実は知らない魅力がしっかりと解説されている。これを読めば、このりんご園に行ってみたくなるし、行けないときはたくさんの品種があるから定期的に送ってもらおうという気持ちにもなる。

それぞれの品種にはそれぞれの個性、魅力がある。健康にいいと実感しながら、味わいも食感も違うりんごを食べ比べしていけるのは楽しいはず。りんごへの関心が高まるようなこんな仕掛けを作りながら、一方で角田さんは更なるチャレンジへ。

「一番注文が多いふじを品評会に出してみたいんです」

 これまでは陽光をメインに品評会に出していた。新たにふじを出したいという話をしたとき、角田さんの目に強い光が灯った。糖度、粒、見た目。シビアに評価されていく現場に向けて角田さんは地道に作戦を立てて進んでいくのだろう。豊富な品種をつなげて作っているだけでなく、十分に納得がいくレベルに高めた1品種のクオリティを第三者に評価させることで客観的な価値を作ろうとしている。そこへ挑む意欲、エネルギーの全集中で園全体へと向かうモチベーションを上げようとしているのだろう。とんでもなく美味しいふじができたりして。そんな期待も膨らんでくる。

 そんな生産者が沼田にはいるのです。

取材/堺谷徹宏
撮影/沼田市
デザイン/中川あや
構成/山崎友香

孝道りんご園
http://www.takamichiringo.com/
認証品:りんご
住所:沼田市中発知町1523-1
電話番号:0278-23-9884
代表者:角田 暢一

Farmer's Voice

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群馬県沼田市の認証ブランド「NUMATA BRAND」支える生産者さん。インタビューから見えた"生産者の声"を紹介しています。

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