ミツバチ一匹一匹を
家族と思って
一緒に働いています
アカシアを中心にたくさんの種類の蜂蜜が店内に並ぶ。代表の近藤みゆきさんは言う。
「アカシアはクセがないので、好き嫌いなくいろいろな方に喜んでいただいています」
1947年に創業。70年以上、北は谷川岳、南に赤城山を望む奥利根の美しい自然よりミツバチたちが集めた黄金の一滴一滴を一切の添加物を使用せず、瓶詰めした純度100%の蜂蜜を提供し続けている。
種類の多さに驚く。レンゲ、キハダ、りんご、とち、みかん、ひまわり、そば、くり。他にはぜなどというものもあるし、四季の花々を蜜源として採集した百花蜜もある。花の形、色はおろか植物としてのイメージが全く湧いてこないものもある。ひとえに利根沼田地域の自然の豊かさを象徴するようなラインナップだ。
アカシア蜂蜜は淡黄色。味わいもさっぱりしている。控えめで上品な感じ。これは日本人が好みそうだと思って、店内を見ていたら、アカシア蜂蜜を一升瓶に詰めたものが数本並んでいた。いや、これはすごい量だな、どういう人が買っていくのかなと思った矢先に男性のお客様が入ってきて、その一升瓶詰めのアカシア蜂蜜を3本もまとめて買っていかれた。このお客様が特別なのかと思っていたら、続いて女性のお客様が来店して、一升瓶ではないけれど、同じアカシア蜂蜜をたくさん買っていかれた。
「大量にお求めになる個人のお客様が結構いらっしゃいます」
と近藤さん。聞けば、皆調味料として使うらしい。砂糖やみりんの代わりということだろうか。百花蜜以外の単一種の蜂蜜の価格が一升瓶で税別7,200円だというから、身体にいいとはいえ、相当に贅沢な甘味調味料だ。これを普段の調味に使うとは、この地域の食文化の奥行きの広さに驚く。
「もう44年以上、採蜜を続けていますが、大風邪をひいたことはないですね。インフルエンザにもなったことがない」
と語るのは工場長の晴智孝雄さん。小柄でスレンダーな晴智さんは、アスリートのような無駄な肉のない体型。表情もクリアで、とても健康そうだ。蜂蜜には痩身効果などというものがあるとは誰も言っていないけれど、蜂蜜を毎日摂取してしっかり身体を動かしていれば、ひょっとしたら……。砂糖に比べてカロリーは低いのだから、不可能ではないかも。
「私ははぜが好きですね。ハーブっぽいというか、青梅にも似てるかな。すうっとするんですよ」と楽しそうに語る晴智さん。
花の種類によって味も色もテクスチャーも、性質も異なる不思議な蜂蜜。たくさんの種類の中から自分にぴったり合う蜂蜜を見つけてみたくなる。そんな相談にも乗ってくれそうなのが坂井養蜂場。食がまた楽しくなります。
そんな生産者が沼田にはいるのです。
取材/堺谷徹宏
撮影/高津修、沼田市
デザイン/中川あや
構成/山崎友香
株式会社 坂井養蜂場
https://sakai-hachimitsu.jp/
認証品:キハダはちみつ、アカシアはちみつ、りんごはちみつ
住所:沼田市高橋場町1885-10
電話番号:0278-24-4134
代表者:近藤 みゆき