冬場は冷たく乾いた
「からっ風」が吹くので
天日干しに最適な地域なんです
シルクスイート、紅はるか、安納芋の3種類を育て、干し芋(一部は焼き芋)に加工する。
「シルクスイートがメインですね。繊維が少なく、かためで食べやすいんです。毎年15〜20t、紅はるかは10t、安納芋は5t作っています」
ピコファームの小林彰幸さんは、実に楽しそうに話す。
おばあさんが干し芋作りをやっていて、引退するときに芋を洗う機械、蒸したり、乾燥させたりする機械をもらった。それが干し芋作りのきっかけになった。2017年に収穫したさつまいもを初めて干し芋にした。試行錯誤を繰り返し、1年後に商品化。さつまいも農家としては5年目。有機ミネラル肥料だけを使用し、除草剤は使わない。
「冬場は冷たく乾いたからっ風が吹きます。この地域は天日干しに最適なんです。さらに雪が降ると土埃が舞わないのでさらにいい」
さつま芋は収穫してから生芋の状態で2か月以上倉庫で保存し、熟成させる。
その後で蒸して皮を剥き、スライスする。天日干しは12月〜1月。
天気が良ければスライスした芋は1週間で干し上がる。
ねっとりと甘い干し芋に仕上がる。商品化してからほぼ毎年完売になる人気ぶり。
干し芋は南は鹿児島あたりから北は茨城あたりまでを中心に生産されている。
個人的には鹿児島のものは甘いけれどさっぱりしている感じで、茨城のものは甘さはそこそこでぺったりとした感じ。他の地域の干し芋には、小林さんの干し芋のようなねっとり感はあまり感じない。
「さつまいもは本来暖かい地域の作物です。沼田は寒いので地域的にはぎりぎりなのかなと思いますが、寒いところで作ったほうがさつまいもはねっとりするようです」
ピコファームというファーム名はイタリア語のpiccolo(=小さい)から。そこに小林さんの「小」も被せた。小さいさつまいも農家としてスタートしたので、いつまでも小さかった頃のことを忘れずにという思いを込めてつけたとのこと。
沼田ブランドの認証を受け、エコファーマーの認証も受けた。安心安全はもちろん、「ねっとり感」と甘さにこだわり、他県の大量生産の干し芋工場にはできない細やかなもの作りを目指していく。いつまでも謙虚で、丁寧に1個1個のさつまいも、1切れ1切れを大切に扱っていこうという姿勢の現れだ。
そんな生産者が沼田にはいるのです。
取材/堺谷徹宏
撮影/高津修、沼田市
デザイン/中川あや
構成/山崎友香
ピコファーム
https://www.picofarm.net/
認証品:干しいも
住所:沼田市白沢町高平1546-1
電話番号:090-2532-5887
代表者:小林 彰幸