遠心分離器から
出てきた瞬間のはちみつが
一番美味しいんです
日本で販売されているはちみつの90%以上が中国やアルゼンチンなどからの輸入品と言われている。
「はちみつは形がないのでいろいろなことができてしまいます。自然のものなのでできるだけ手を加えない。そして良質なものをできるだけ早くそのままお届けしたい」
と語るのは小林養蜂園の園主、小林豊さん。
沼田の河岸段丘の立地を活かしてアカシアをはじめ、りんご、さくらんぼ、ブルーベリー、そば、栗など多くの種類のはちみつ生産し、販売している。
一般的にはちみつは粘度があるので熱を加えないと容器に充填しにくい。
小林養蜂園では比較的粘度が低いアカシア、とち、栗などは完全非加熱で充填し、その他の粘度の高いものは49度以下で加熱して充填している。
いずれも濾過して花粉の粒など異物を取り去る丁寧な作業を行っている。
「非加熱は食べ比べるとね、風味が違うんですよ」
小林さんは自社のはちみつの品質の高さと種類の多さに胸を張る。
が、それは自社だけで成立しているものではなく、豊かな自然を背景に、りんご、さくらんぼ、ブルーベリーなどの生産者たちとの密な連携があってこそ。
蜂を農園に貸し出して受粉を促進させる。農園では果実が実り、小林養蜂園では多種類のはちみつを採取することができる。そこには常に共存共栄の思いがある。さっぱりとしたアカシア、香り豊かなりんごやさくらんぼ、独特のクセのあるとちやそば。植物によって味も香りもはっきりと異なる。それぞれに適した生産の方法で採取していく。神経を使う細かな作業だ。
さらに、小林養蜂園は国内では数社しかないと言われている、ローヤルゼリーの生産者でもある。直径1cmほどのカップ状の器具でローヤルゼリーを集める。これは素人目にもとても難度が高く見える。ローヤルゼリーは働き蜂が花粉とはちみつを食べて乳化させて作ったもの。生成の過程や成分からはちみつとは全く異質のものだという。近年、健康食品としての認知が広まり、リピーターが増えている。
「手作業で採算は悪いが、ローヤルゼリーを採っていると従業員の技術レベルが上がるんです」
お話を伺っていて、小林さんを中心とした従業員の方々が実に楽しそうに誇りを持って仕事に臨んでいる雰囲気が漂ってくる。小林さんのはちみつへの思いが従業員の方々へ浸透しているのがわかる。できるだけ手を加えない、できるだけそのまま届けたい。そんな熱い思いを胸に蜂と対峙している。
「女王蜂の育成から始まり、社員一丸となって日々の丁寧な養蜂、採蜜、充填、販売を心がけています」
そんな生産者が沼田にはいるのです。
取材/堺谷徹宏
撮影/高津修、沼田市
デザイン/中川あや
構成/山崎友香
有限会社小林養蜂園
https://www.8-3-2.com/
https://www.instagram.com/kobayashiyouhou/
認証品:金キャップ国産天然アカシアはちみつ
住所:沼田市利根町大原1617-2
電話番号:0278-56-2401
代表者:小林 豊