時代に合わせた栽培と販売を心がけている滝澤祐太さん(滝沢りんご園)

フルーツ

サンふじを
休憩時に丸かじりするのが
好きなんです。

滝澤祐太さんは滝沢りんご園の3代目。

東京でスポーツジムインストラクターの仕事についていたが、2014年に24歳で奥様と一緒に帰郷し、跡目を継いだ。

ご両親も現役で園の仕事に携わっているが、若夫婦が先頭に立って新たな取り組みに次々とチャレンジしている。

例えば、毎年10月に旬を迎える紅玉を使って奥様がアップルクランブルというイギリス発祥のスイーツを作り、店頭で販売。

地元のりんご園有志が集まって、真冬にりんごを雪の中に埋めてゴールデンウイーク明けに掘り出して酸味の抜けた甘いりんごを提供する「雪んこりんご」の取組にも参加している。

さらに前職のキャリアを生かしてりんご狩りに訪れたお客様へ向け、ヨガのイベントを行ったことも。

りんご狩り客は有機低農薬で栽培されたこだわりのりんごを堪能でき、しかも弁当の持ち込みもペットもOK……。

楽しくて至れり尽せりのサービスが目白押し。

「時代に合わせた栽培と販売を心がけています」と滝澤さん。

端正なビジュアル、穏やかな物腰、優しい語り口でりんご農家の1年を伝える保育向け雑誌の特集に登場するという側面もある。

要するに、意固地にならず柔軟に考えることでりんごという食文化の現在を発信しているということ。

本人もご家族もそれらを楽しんでいるように見えるのは恐らく気のせいではない。SNSで発信されている滝沢りんご園の情報にはご家族も登場。そこからは明るく、にぎやかなりんご農家の日常が見えてくる。

「りんご狩りのシーズン、お客様がたくさん来ているときに、よく園の見回りをします。お客様の声をよく聞くようにしているんです」

 ダイレクトマーケティングという厳しい言葉がフィットしないほどナチュラルな現場主義で滝澤さんはニーズを拾い、生かす。

それがジュースなど他園でも取り組んでいる加工品に加えて先述のアップルクランブルなどの焼き菓子作りに反映されているのだろう。

家族ぐるみで取り組んでいるさまざまな試みは沼田のりんご園の中でも特筆すべきものばかりなのに、滝澤さんはあくまで自然体。そういうことを力説したり、農業の未来や後継者問題、耕作放棄地について声高に語ったりもしない。

必然的に繁忙期の仕事の密度は相当のものと想像するが、ふと気になって気分転換について尋ねてみた。

「休憩のときにサンふじを丸かじりするのが好きなんです」

 そんな生産者が沼田にはいるのです。

取材/堺谷徹宏
撮影/沼田市
デザイン/中川あや
構成/山崎友香

滝沢りんご園
https://www.takizawa-apple.com/
認証品:りんご、りんごジュース
住所:沼田市上古語父255
電話番号:0278-53-2807
取材を受けた方:滝澤 祐太

Farmer's Voice

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群馬県沼田市の認証ブランド「NUMATA BRAND」支える生産者さん。インタビューから見えた"生産者の声"を紹介しています。

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