沼田は高低差があって
花が咲いている時期が長い。
だから、多くのはちみつを採集できます
関越自動車道の沼田インターチェンジを降りて国道120号線を走る。
のどかな農園風景をぼんやりと見ていると、右手にひと際目を引く建物が現れる。
エントランスにドーム型の屋根をあしらったこの「花みつばち館」が小野養蜂場の店舗。
中に一歩足を踏み入れると、まずその品揃えの多さに驚く。
自社で採集したはちみつのほかに、輸入はちみつ、果汁入りはちみつ、プロポリスやローヤルゼリーなどの健康食品までと実に幅広い。
オリジナル商品として自社のはちみつを使用した「尾瀬のはちみつバターアーモンド」「はちみつりんごバター」「はちみついちごバター」なども人気。
輸入品で目を引くのは「スペインレモンはちみつ」「アルゼンチンクローバーはちみつ」、それに「グアテマラコーヒーはちみつ」。思わずじっと覗き込んでしまう。
自社で採集したはちみつの試食コーナーも充実(※状況により試食を行っていない場合もあり)している。
カフェが併設されており、好きなはちみつを選んでトッピングできるソフトクリームが人気メニューだ。
この店は、つまりはちみつを太い軸にしたテーマパークなのだ。
つい珍しいものに目が向いてしまうが、店の一番人気は上品な香りと、さらりとした甘さが特徴の「アカシヤはちみつ」。
沼田の特産品であるりんごの花から採集した清々しい甘さの「りんごはちみつ」、香り豊かな「沼田城さくらはちみつ」も人気がある。
「沼田は河岸段丘など高低差のある地形が多いため、花が咲いている時期が長く、多くのはちみつを採集できます」と小野大介さん。
祖父の代から本物の味と品質を皆様へをモットーに自然の美味しさ、栄養を届けてきた。
「(はちみつは)採ったままで手を加えていません。人には作り出せない自然の美味しさをお届けできることが誇りです」
小野さんは胸を張る。花みつばち館という大がかりな仕掛けは小野養蜂場が一番伝えたいことをもっともわかりやすく、しかも消費者が楽しめるように表現するための装置なのだろう。
沼田には養蜂家、養蜂園が多いが、ここまではちみつの世界を広げてグローバルに見せてくれるところはない。
大抵は、自社で採集したはちみつを店頭に並べ、少しだけ外国産はちみつやローヤルゼリーを置いているくらいだ。花みつばち館の店内を見て回ると、自然にはちみつの世界に浸っていく感覚になる。
一般の消費者はそう簡単には養蜂の現場に立ち会うことはできないし、どれだけたくさんの種類のはちみつが沼田、国内、そして世界にあるのかを認識するのも難しいけれど、ここに来れば商品や説明パネルを見るだけではちみつの世界の知識を広げることができる。
小野養蜂場、親子孫3代で築き上げてきた花みつばち館でははちみつの魅力を存分に味わうことができる。花みつばち館の紹介サイトではこんなメッセージも。
「みつばちに関する事をなんでも聞いてください」
そんな生産者が沼田にはいるのです。
取材/堺谷徹宏
撮影/高津修、沼田市
デザイン/中川あや
構成/山崎友香
小野養蜂場有限会社
https://www.hana38kan.com/
認証品:アカシアはちみつ、りんごはちみつ、沼田城さくらはちみつ
住所:沼田市久屋原町450-2(花みつばち館)
電話番号:0278-23-8738
代表者:小野 大介